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難しい神経内科の病気 (4) [神経内科の病気]

 MSAは、以前、三つに分類されていたのは前回述べた。

 三つとは……一つは、オリーブ・橋・小脳萎縮症、英語名はOPCA(オーピースィーエイ)、つまり、olivo-ponto-cerebellar atrophy。これは患者さんの脳を見ると、オリーブ核、橋(きょう)、小脳の萎縮が目立つので、こういう病名がついた。症状は小脳症状が目立ち、自律神経症状もあるが、錐体外路症状つまりパーキンソン症状が目立たない。萎縮の場所がはっきりしているため、CTやMRIといった画像検査が役に立つ病気である。

 二つ目が、線条体・黒質変性症。これは、英語名は……striato-nigral degeneration、略してSND(エスエヌディ)である。線条体は基底核、黒質はパーキンソン病での病変の中心部位……ということで……症状は錐体外路症状が目立つので、パーキンソン病とよく似た症状となる。画像検査でも分かることは分かるが、OPCAよりは分かりにくい。

 三つ目が、シャイ・ドレーガー症候群(シャイ・ドレージャー症候群と呼ばれることもあるが)。英語名は、Shy-Drager syndrome、略してSDS(エスディエス)。これは、自律神経症状……ひどい立ちくらみ、失禁や尿が出にくいなどの排尿障害、ひどい便秘、そして、症状の中で際立って目立つのが……大きないびきである。

 いびきも普通のいびきと違い、夜であれば病棟中に響き渡るような大きさである。昔、神経難病病棟のある病院に勤務したことがあるが、当直の時に何度も聞いたことがある。このいびきが、周りの患者さんの睡眠を妨げることになり、病棟のスタッフは、SDSの患者さんの場合、その看護だけでなく、いびき対策を講じるのにたいそう苦労していたのを記憶している。そういうわけで、SDSでは患者さんの症状が診断の大きな手掛かりとなる。

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