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神経内科に紛れ込んでくる病気(1) [神経内科の病気]

 ある日、片目を真っ赤にした患者さんが外来に来た。訊くと真っ赤な方の眼が見えず、その眼の周囲が痛むといわれる。痛みの範囲は三叉神経の第Ⅰ枝の範囲、痛みは三叉神経痛……これは眼のヘルペスウイルス感染だ、そう若い神経内科の見習い医師は思った。そして、すぐに近くの眼窩に、その旨をしたためた紹介状を書いた。

 1、2時間経ったころ、電話が入った。見習い医師が出ると……照会先の眼科医だった。電話口で眼科医はこう言った。「先生、グラウコーマですよ、さっき送られた患者は……」

 見習い医師は、仰天した。glaucoma、緑内障のことは知っていたが、見るのは初めて、「あれが、緑内障か……」見習い医師はつぶやくように言った。

 見習い医師は、それから数年後、別な病院で当直の時、同じ症状と訴えのある患者を診る機会があった。この時は、患者の眼をしっかと診た。充血した眼の瞳孔が開いていた。「緑内障ですよ、すぐに救急を受け入れてくれる眼科に送らないと」医師は、看護師に告げた。

 いずれも、急性閉塞隅角緑内障である。最初は神経内科専門医になる前の私の苦い経験であり、二度目は神経内科専門医になって数年後に経験したことである。

 急性閉塞隅角緑内障は、急にくるが、治療が遅れると……失明の危険がある。最初の失敗も、誤診はしたもののさっさと送った先が眼科なので、患者さんには迷惑をかけていない。ただ、赤っ恥を私がかいただけですんだ。

 私の場合、最近、眼科が併設されている病院の脳神経内科外来で、三人目の急性閉塞隅角緑内障の患者さんを診た。顔を見るなり、すぐに眼科に送ったので、周りはびっくりしたようだったが、診療にあたった眼科医によれば、完全には視力はもどらないかもとのことだった。猶予の許されない病気なのである。

 

 
タグ:頭痛 緑内障
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