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認知症と紛らわしい病気 [神経内科の病気]

 今自分がいる場所がどこなのか、日付はいつなのか、周りに入る人がだれなのか……そういったことを把握する能力のことを見当識という。

 見当識が悪くなると……当然、認知症と思われてしまうことになる。他人から訊かれて「ここ、どこでしょうか?」「いつと言われても……さあ……」「おたくはどなたですか?」なんて答えていたら、当然認知症と思われてもしかたない。

 この見当識障害が物忘れよりも目立って、なんとなく答えの反応が鈍い印象がある時……実は、軽い意識レベル低下(意識障害)がひそんでいることがある。

 それは、身体の中の代謝に異変をきたしているときである。たとえば……肝硬変などで肝臓の機能が弱っている場合……潜在性肝性脳症(せんざいせいかんせいのうしょう)という病気がおきていることがある。

 肝性脳症といえば……明らかな意識障害や羽ばたき振戦といった特徴的な症状が出るが……潜在性肝性脳症では、名前の通り、症状は潜在している。しかし、それはざっと診た時の話で……よーく観察すれば、注意力の低下も含め、先程述べたような認知症のような症状がみられるのである。

 肝性脳症であれば、血中のアンモニア濃度が高くなっているのだが……潜在性では最初は正常上限くらいのこともある。そのため、アンモニア濃度などに頼っていては見逃してしまうことになる。

 やはり、注意深い診察が肝要と、私は思っている。

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