SSブログ

ちょっと気になる神経内科の病気(8) [神経内科の病気]

 前回は、顔面の麻痺だったが……今度は、顔面のけいれんである。
 半側顔面けいれん(hemifacial spasm)は、厄介な病気である。軽い時は眼の回りの軽いけいれんであるが……ひどくなると頬や口の周囲まで引きつってくる。顔面に症状が出る病気だけに……美容上も問題となる。
原因には顔面神経に侵襲を及ぼす脳腫瘍などのこともあるが、原因不明のことが多かった……だが、最近では、この原因不明とされていたものの多くが、動脈硬化で蛇行を始めた血管が顔面のけいれんの原因であることがわかってきた。蛇行した血管が、どうして顔面のけいれんを起こすのか?
顔面神経は前回も述べたが、脳の根っこにあたる脳幹というところに本体の細胞がある。そこから耳のあたりの頭蓋骨の中にあるトンネルを通って外に出てくる。そして、顔面の表情をつくる筋肉に神経の枝を伸ばしている。その神経の枝がいわゆる顔面神経なのだが……。その顔面神経の本幹が脳幹から出てトンネルに入るまでの場所には、そばを何本か血管が走っている。それが動脈硬化で蛇行を始めると、しだいに顔面神経のそばにすりよってくる。顔面神経としては迷惑なのだが、なにしろ狭い場所であるから逃げられない。動脈硬化の血管は、すり寄ってくっつくと、ぐいぐいと圧力をかける。その圧力が顔面神経を刺激して、けいれんが起きるのである。
このけいれんの治療は、まずはてんかんの薬で治療を開始する。これが効かない、あるいは満足できない時は……ボツリヌス菌の毒素を薬にしたものが使われる。これは、けいれんを起こしている顔面の筋肉への注射で、毒素で軽い麻痺を起させるのである。普通、効果はみられるが、その持続は3~4カ月程である。だから、効果が切れる度に、注射を繰り返す必要が出て来る。
 もっと根本的な治療はないのか? 根本的となると、外科的治療、手術である。耳の後ろあたりから入る手術だが、すり寄った血管を顔面神経からはずし、クッションを入れて圧迫を取るのである。
 いやはや、動脈硬化、いろんなところで悪さをするものである。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。