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ちょっと気になる神経内科の病気(7) [神経内科の病気]

 ある日、な~んかおかしいと思って鏡を覗くと……顔が歪んでいた。こんな状況に見舞われたら……たいていはショックを受ける。鏡の前で表情をつくってみると、すぐに気づく。どちらかの眉が上がらず、額にしわができない……眼が閉じない……口がゆがんで食べ物がこぼれる……笑うと口のゆがみがひどくなる……ときには味もおかしくなる……そんな症状がみられる。それが顔面神経麻痺である。急に発症し、他の神経に異常がなく、原因がはっきりしなければベル麻痺という。麻痺した顔側の耳のあたりに湿疹ができていれば……ラムゼイ・ハント症候群である。
いずれにしても、顔面筋の麻痺が末梢性であり、顔面神経という末梢神経の麻痺が起きていることになる。
顔面筋の麻痺には、中枢性と末梢性がある。中枢性の場合、顔の上の方……つまり、額の筋肉の麻痺はまぬがれていて、麻痺の程度も軽い。一方、末梢性では、額の筋肉も含めて麻痺がくるし、麻痺の程度も重い。
なぜ、そんな差異が出るのか? それは顔面神経の中枢からの支配が、顔の上部と下部では違いがあることによる。
顔の筋肉に至る顔面神経の細胞の本体は、脳の根っこにあたる脳幹(のうかん)にあるが、その細胞に指令を送るさらに上位の細胞が大脳にある。そして、顔の上部ほど、そこへ神経線維を送る脳幹の顔面神経の細胞は両側からの支配の度合いが強くなる。下の方ほど、支配が片方の大脳に偏る。だから脳卒中などの大脳の病気では、起こる顔面筋麻痺は顔の上ほど障害が軽くなる、眉は上がるし、目も閉じるのである。麻痺は口の辺りに限られる。そのことさえわかっていれば、顔面筋の麻痺が中枢性か末梢性かは、判別が容易である。
さて、湿疹を伴う顔面筋麻痺、ラムゼイ・ハント症候群は水痘ウイルスが原因とされる。これはベル麻痺より重症で、後遺症も残りやすい。ベル麻痺は、単純ヘルペスが原因ではないかと言われている。こちらの方は、比較的後遺症も残さず治ることが多い。
治療は、いずれも抗ウイルス薬、ステロイドホルモン、ビタミンB12製剤が中心となり、それにステロイドの副作用予防のために潰瘍を防ぐ薬、さらには骨粗しょう症を防ぐ薬剤まで加えて処方することもある。また、漢方薬を処方されるドクターもおられる。そして、顔面筋麻痺のためのリハビリテーションをテラピストに依頼することもある。
治療は早い程、後遺症の残りにくい。気づいたら、すぐに神経内科、もしくは脳神経外科、耳鼻咽喉科(湿疹があれば皮膚科でもよいが)を受診されるのがよいかと思う。

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