地縛記憶2: 京都、地脈の乱れ(第73回) [ミステリー]
「いえ、ちょっと、その高木の態度に変化があったというのが、気になって……」
「ですよね。 唐沢も、それが、どこか、ひっかかるようなこと、言ってましたね」
毛利は、少し怪訝な顔をした。
「それで、事件の全容は、明らかになったんですか?」
佑太は訊いた。
「いえいえ、そこまでは……今のところ、直接取り調べできたのは、吉本敦子の方だけなんですから……」
毛利は、そのあとしばらく、吉本敦子の供述を披露していった。 佑太には、その供述のほとんどが、腑に落ちることばかりだった。
毛利が話し終えると、佑太が思いがけないことを言った。
「あのう、高木洋介、吉本敦子の家と石田三成との間に、何か繋がりがないのか、調べていただけませんか?」
毛利は、一瞬、とまどいの色を見せたが、すぐに念を押すように訊いた。
「石田三成と高木洋介、それと吉本敦子の家のつながりを、ですか?」
「ええ、そうです」
「もしかして、吉本敦子が見た武将が石田三成の亡霊だと、本気で思っておられるのですか?」
「いや、それは、まだわかりませんが……とにかく、吉本敦子が、何か武将の姿を六条河原で見たと思っているのは、間違いないようですから。 それが、ちょっと、気になって。 お願いできませんか?」
佑太は、再度頼んだ。
「安藤先生が、そうまで言わはるのでしたら、毛利、調べてあげたら、ええやないか。 これだけ、お世話になっとる先生が、言わはるんやから」
横から桜井が口をはさんだ。
「わかりました。 では、その件は、こちらで早急に調べて、先生には、わかった時点で、ご報告いたします。 それで、よろしいでしょうか?」
毛利が言った。
「ええ、それで結構です。 有難うございます、御面倒なことを、お願いしまして」
佑太は、ぺこりと頭を下げた。
「いえいえ、お礼など言われなくてよろしいですよ、これも、事件に関わることですから。 それより、もうひとつ未解決なことが……裏で、高木たちを動かしていた人物ですが……」
毛利の眉間にしわが寄った。
「マスターのことですね」
佑太は言った。
続く ⇒ http://shiratoriksecretroom.blog.so-net.ne.jp/2013-10-24-1
「ですよね。 唐沢も、それが、どこか、ひっかかるようなこと、言ってましたね」
毛利は、少し怪訝な顔をした。
「それで、事件の全容は、明らかになったんですか?」
佑太は訊いた。
「いえいえ、そこまでは……今のところ、直接取り調べできたのは、吉本敦子の方だけなんですから……」
毛利は、そのあとしばらく、吉本敦子の供述を披露していった。 佑太には、その供述のほとんどが、腑に落ちることばかりだった。
毛利が話し終えると、佑太が思いがけないことを言った。
「あのう、高木洋介、吉本敦子の家と石田三成との間に、何か繋がりがないのか、調べていただけませんか?」
毛利は、一瞬、とまどいの色を見せたが、すぐに念を押すように訊いた。
「石田三成と高木洋介、それと吉本敦子の家のつながりを、ですか?」
「ええ、そうです」
「もしかして、吉本敦子が見た武将が石田三成の亡霊だと、本気で思っておられるのですか?」
「いや、それは、まだわかりませんが……とにかく、吉本敦子が、何か武将の姿を六条河原で見たと思っているのは、間違いないようですから。 それが、ちょっと、気になって。 お願いできませんか?」
佑太は、再度頼んだ。
「安藤先生が、そうまで言わはるのでしたら、毛利、調べてあげたら、ええやないか。 これだけ、お世話になっとる先生が、言わはるんやから」
横から桜井が口をはさんだ。
「わかりました。 では、その件は、こちらで早急に調べて、先生には、わかった時点で、ご報告いたします。 それで、よろしいでしょうか?」
毛利が言った。
「ええ、それで結構です。 有難うございます、御面倒なことを、お願いしまして」
佑太は、ぺこりと頭を下げた。
「いえいえ、お礼など言われなくてよろしいですよ、これも、事件に関わることですから。 それより、もうひとつ未解決なことが……裏で、高木たちを動かしていた人物ですが……」
毛利の眉間にしわが寄った。
「マスターのことですね」
佑太は言った。
続く ⇒ http://shiratoriksecretroom.blog.so-net.ne.jp/2013-10-24-1
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