地縛記憶2: 京都、地脈の乱れ(第69回) [ミステリー]
佑太は、背後に、何かを感じた。
ふり返ると、目の前に武者の顔があった。 恐ろしい形相である。 武者には首から下がない。
〈生首か?〉
佑太は心の鼓動を感じた。
「拙者に、何か用か?」
武者の生首が、口を開いた。
佑太は、生首が、地縛記憶で見た六条河原で首を刎ねられた武将であることに気づいた。 石田冶部少輔、その人である。
「貴方は、石田冶部少輔殿ではないですか?」
「そうではあるが。 その方ら、この石田に、何用あって、ここへ参ったのじゃ?」
「私たちは、京都の地脈の乱れを鎮めるためにここに来ています。 高台寺でおね様、広隆寺で秦河勝殿、そして東寺にて弘法大師空海様にお会いしたあと、ここに参りました」
「ほほう、高台院のところから始まってか? だが、高台院の名前を出すとは、片腹痛いわ。 高台院は、どの面下げてお出ましになったのかな? 豊臣の母でありながら、内府ごときものに騙され味方されて、甥の小早川のこわっぱまでが、あのざま。 おかげで、わしは秀頼公をお守りできなんだわ。 まあ、そんなものを頼んだわしも、責めを負わねばならんがの。 とにかく、高台院などの遣わしたものの顔など、見とうもないわ。 さっさと立ち去れ! さもないと祟り殺すぞ」
生首の言葉は怒気を帯びていた。
佑太は少したじろいだが、手に持つ守り袋に温もりを感じた。
〈なんだ、この温もりは、あたたかくてここちよい、なぜだ? さっきまではなかった感触だ〉
佑太が袋に目をやると、生首の目も袋に向いた。
「どうした? その守り袋が気になるようだが、中には、何が入っているのだ?」
生首がそう言うと、佑太の背後で別な声がした。
「治部殿、お主の負けじゃよ。 もう暴れるのは、その辺で、お止めなされ」
佑太が振り向くと、八十過ぎの老いた僧侶が立っている。
生首が、老いた僧侶に問う。
「おお、春屋殿ではござらぬか。 何故、老師(ろうし)がここに?」
老師は答える。
「何故に? それは治部殿が、怨念の炎を、都に、まき散らしておられるからじゃ。 いい加減、鎮まられたらどうじゃ。 長年、静かに、眠っておったではないか」
「いやいや、確かに、老師のおかげで、拙者、ここに、安住の地を得ておりましたが……昨今、妙に魂が高ぶって、積年のうらみ、はらしてみとうなったわけで……」
「なるほどな。 じゃがのう、治部殿。 煩悩の宿る身体をお持ちの間は、うらみつらみ、お持ちであったことは、重々お察し申し上げる。 さりとて、我らは、すでに、霊なる存在。 必要なのは安息でござる。 うらみつらみなどは、俗世に迷うものが持つ、やっかいなもの。 そのようなものは、雲散霧消(うさんむしょう)させねば、安息など訪れますまい。 このまま恨みの炎を燃やし続ければ、現世の迷い者となり、仏の浄土からは遠ざかってしまいますぞ。
今、そこの御仁がお持ちの守り袋には、三つの水晶玉が入っておりまする。 それに、刻まれし文字は 『信』 『智』 『礼』 の三つの文字、 『信』 は高台院の刻まれしものじゃが、 『智』 は聖徳太子様、そして、 『礼』 は、我らが先達の弘法大師空海様が刻まれしものでござるよ。 しかも、高台院は、自らは引かれ、二人の聖なる方を介して、治部殿に和解をお求めなのですぞ。 治部殿は、それに応える、責務が、ござるのではないか」
老師は説いた。
続く ⇒ http://shiratoriksecretroom.blog.so-net.ne.jp/2013-10-20-1
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〈生首か?〉
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「貴方は、石田冶部少輔殿ではないですか?」
「そうではあるが。 その方ら、この石田に、何用あって、ここへ参ったのじゃ?」
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「ほほう、高台院のところから始まってか? だが、高台院の名前を出すとは、片腹痛いわ。 高台院は、どの面下げてお出ましになったのかな? 豊臣の母でありながら、内府ごときものに騙され味方されて、甥の小早川のこわっぱまでが、あのざま。 おかげで、わしは秀頼公をお守りできなんだわ。 まあ、そんなものを頼んだわしも、責めを負わねばならんがの。 とにかく、高台院などの遣わしたものの顔など、見とうもないわ。 さっさと立ち去れ! さもないと祟り殺すぞ」
生首の言葉は怒気を帯びていた。
佑太は少したじろいだが、手に持つ守り袋に温もりを感じた。
〈なんだ、この温もりは、あたたかくてここちよい、なぜだ? さっきまではなかった感触だ〉
佑太が袋に目をやると、生首の目も袋に向いた。
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