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地縛記憶2: 京都、地脈の乱れ(第8回) [ミステリー]

「帝都警視庁の嘱託医をされている、安藤(あんどう)佑(ゆう)太(た)とおっしゃる先生です。 先輩より四つ程、若い方ですが、プロファイリングの腕が凄いんですよ、鳥肌が立つくらい。 先輩、ご存じないですか? 高松記念公園周辺で起きた連続殺人事件……」

「高松記念公園……ああ、あれか、白、青、赤、黒のペンキが四人の害者の遺体にかけられていたっていう」

「ええ、そうです。あの連続殺人事件の現場で、安藤先生がじっと凝視したんですよ、十数分くらいでしょうか、私らの前で。 そして、そのあと、淡々と現場で起きた事件の状況を説明していった、まるで、事件を目撃していたかのように」

「何だ、そりゃ? そんなことできる人間がいるわけないだろう」

「でも、先輩、安藤先生にはできたんです。 実際、私と上司で、それを目撃したんですから」

「いくらお前の話だからって、俺は、信じないぞ、眉唾(まゆつば)だな、そんな話。 だいたいな、プロファイリングなんかで、事件の解決なんて出来るわけないんだ」

 毛利は、断定するように言ったが、唐沢の表情は変わらなかった。

「まっ、先輩、実際に安藤先生のプロファイリングに付き合ってみれば、分かりますよ。 捜査が行き詰ったら、いつでもご連絡ください、安藤先生に協力していただくように、頼んであげますから。 私が頼めば、いやとは、おっしゃらないと思いますので、はい」

 唐沢は自信ありげに言った。

「そんな必要はないだろうけど……まっ、そこまでお前が言うのなら、覚えておくよ。 じゃあ、俺はまだ仕事があるから……奥さんもお腹のお子さん、大事にしてください。 私は、ここで失礼します」

 毛利はそう言うと、河原から坂道を土手へと上がっていき、その姿は橋の向こうへ消えた。
                                                        
  続く ⇒ http://shiratoriksecretroom.blog.so-net.ne.jp/2013-08-19-1

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