SSブログ

ちょっと気になる神経内科の病気(3) [神経内科の病気]

 レビー小体型認知症という病気がある。これは、アルツハイマー型ほどではないが、結構よくみられる認知症の一型である。この病気は物忘れもあるが、それ以外に特徴がある。一つはパーキンソン症状がみられること、もうひとつは幻視がみられることである。
私が、この欄に取り上げた理由は……幻視がみられるからだ。幻視は「実際にはいないものが見える」のを言う。なぜ、実際はいないものが見えるのか? それは、頭の中に映像が見えるような回路が発火するからである。その回路がある場所は、我々が普段物を見ている時に、発火している場所である。普通は、見るから発火するが、何度も発火しているから発火しやすくなっている。前にも述べたが、長期増強によって何度も発火させると発火する回路が増強される。そのため、見なくても発火することもあるというわけである。
とにかく、幻視の時は見なくても頭の中で映像の回路が発火するので、何かの映像が見えたと脳は認識するのである。そして、このレビー小体型認知症という病気で見える幻視は、なぜか、小さいものが多い。虫、ねずみなど……人も見えるが、子供が多いと言われる。この幻視、我々が夢で見る映像などよりも、はるかにあざやかに見えるらしい。
さて、この認知症、最近増えたわけではない。昔もあったはずである。そして、昔の患者さん……いや、昔は、認知症はそれほど認知されたものではなく、医者にはかからない。初期なら、歳だからで済まされていたはずである。そんなお年寄りが「子供がいた。ほらっ、あそこに子供がいるじゃないか。よく出るのだよ、最近」そんな言葉が出たら、家族や周りの反応はどうだったのだろうか? 昔は、お年寄りは大事にされ、その言葉は、その話は耳にとめられていた。幻視などの言葉はなく、摩訶不思議なことも受け入れられ、神仏とつなげて考える文化もあった。
もしかしたら、レビー小体型認知症の方の見た子供が、あの『座敷わらし』に、なったのかもしれない……そんなことを、ときどき、考えてみることがある。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。