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神経内科に紛れ込んでくる病気 (4) [神経内科の病気]

 「右手の人差指と中指の先の方にしびれがあるんですが……」患者は訴えた。患者は50過ぎの小太りの女性である。

 「しびれは朝起きた時に、強いですか?」 医師は患者に訊いた。 「ええ、朝は特に……」 患者は答えた。 「手を握ったり開いたりしてると軽くなります?」 医師は訊いた。 「はい、そうです」 患者は答えた。

 医師が診ると、右手の人差指、中指を中心に、親指と、薬指の内側あたりに感覚の鈍さがみられる。医師は脇にあった打腱器をとると、患者の右手をとり、手首に近い掌の一点を叩いて訊いた。 「指先にひびきませんか?」 医師は訊いた。 「ええ、指先にひびきます」

 この患者さんの病気は手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)。 英語名は、carpal tunnel syndrome。 手根管とは……手首から掌にかけてちょうど真ん中あたりにあり、骨と靭帯によってできたトンネルのような場所である。 中を腱や血管や正中神経が通る。
 
 そこが、なんらかの原因で狭くなり、中を通る神経や血管を圧迫するようになっておこるのがこの病気である。患者さんが訴えるしびれの範囲は、正中神経の領分であり、それで診断がつく。

 打鍵器で叩いて痛みがひびくのは圧迫されている正中神経への刺激が強まるからである。これをチネル徴候という。これも、診断のための大きな情報となる。

 原因はいろいろであり、私の外来に来られた患者さんの場合、診断の上、整形外科に紹介することにしている。

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