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別れ(1) [人生]

 昨日、ある病院での最後の仕事を終えた。いざ帰ろうとしたら……目の前に人の列が二つ、目の前に現れた。列は、いつも外来診療でお世話になった人たちだ。
 
 二つの列の間に帰る道がある。私を見送ってくれるのか……すぐに分かった。フラワーアレンジメントが用意されていて、それを受け取ると、頭を下げつつ、列の間を抜けて帰途についた。

 私みたいなもののために、花道みたいなものまでつくっていただいて恐縮の至りであった。

 さて、私が影響を受けた宮本武蔵の独行道の21カ条の一つに……「いずれの道にも別れを悲しまず」というのがある。出会いがあれば、必ず別れがある……この当たり前の真理を踏まえたうえで……出会いがあって慣れ親しんだ場所や人とも、時来たらば、淡々と別れて去っていく……そんな風に私なりに解釈している。そして、それを実行して来た。

 今回も、そんな心境ですがすがしい気持ちで、その病院と見送っていただいたスタッフの方々とお別れをしてきた。別れはいいものだ、そう思えて、幸せな気分だった。

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